Let it goとマインドフルネス

 アナ雪2、見に行ったのですが、ちょっと好みに合わず、そして今さらながらアナ雪1はよかったなあ、と云うことを考えています。

 

 アナ雪(1)、何がいいか、と自分の中でいろいろ考えていたんですが、やはりLet it goの歌詞に尽きるだろう、というのが結論です。

 

Let it goはどう訳す?

 ここをどう訳すかは、いろいろ話題になっていましたね。「ありのーままのー」は、非常に日本的に訳されたなあ、と思います。

 この歌詞、Letと云うことばを非常によく使う。

 

 Don't let them in

 Don’t let them see

 don’t let them know

という、Don'tから始まるletもあり、

 let it go

 let the storm rage on

というlet。

 

 このletの感覚、英語に弱い私には難しいけど、「○○に〜させる」という使役の意味、と云えばいいのだろうな。周りの人をうちに入れたり(in)、見せたり(see)、知られたり(know)してはいけない。そうおもむくままに(go;これはちょっと意訳かな)、嵐も吹きすさぶがままに(rage on)しておこう。そういう歌詞だ*1

 

 この感じ、何か知ってるんだけどなんだっけ……と思い、まず思いついたのがこのことば。

 

www.rinnou.net

 放下著(ほうげじゃく、読む)。私はこれは、『あっかんべぇ一休』から知ったんだけども、「すべて捨て去ってしまえ」くらいの意味のようです。

 

 あ。

 

 これ、Let it goやん。

 

 ……ということで、

 

  「ありのーままのー」

 

は。

 

  「ほげじゃー ほげじゃー」

 

と訳すのがより日本語として近いと結論づけました。

 

 ……多分流行らんかったな、これだと。

 

禅思想からのマインドフルネス

 まず、let it goが放下著と訳せるなあ、と思ったあと、「let the storm rage on」も、非常に禅っぽいなあという感じがしたんですよ。"let"が禅っぽい、と云ってもいい。嵐があろうとも、そのまままずは受けとめよう、と。

 どうしてこんな東洋思想が、と思ったのですが、ふと思いついたのが、数年前に起こったマインドフルネスブーム。

 

 マインドフルネス、は……まあNHKが比較的引用するなら無難かな。

www.nhk.or.jp

 もう一点、これも引用しておこう。自分のアンカーとしても。

http://www.p.u-tokyo.ac.jp/soudan/070nenpo/pdfs/2015_fujita.pdf

 これは、東大の心理教育相談室の公開講座で、卒業生でもあるお坊さんがマインドフルネスについて、難点も含めて語っているので、読める人はこっちがいいかな。

 

 私も詳しくは分かってないけど、あるがままのこころに目を向けて、今起きてくる気持ちを、ただ受けいれる。それがマインドフルネスの雑な紹介です。

 

 

 この東大の公開講座にもあるけど、元々は仏教の禅の瞑想法が、アメリカ西海岸で取り入れられて抽出されたもの、だったはず。ここにあるけど、アメリカでは非常に流行って、2014年にはタイム誌の表紙にもなった、とあります。

 

 アナ雪、公開は2013年。

 

 そう考えると、マインドフルネスブームが起きて、西海岸でいろいろと取り入れられてワークショップなども起きていた頃かと思うのです。タイムの表紙よりは早いけれども、表紙になるのはいろいろムーブメントが生じていたあとなのだから、制作中にマインドフルネスが流行っていた、と考えても差し支えないと思うのですよ。

 

結論

 マインドフルネスブームが、Let it goの背景にあったのではないだろうか。

 その意味では、「ありのーままのー」と云うのも、間違いではないのかな。「まいんどーふるねーす」でもよかったかもしれないけど。

 

 ……まあ、私は「ほげじゃー ほげじゃー」を強く主張しますがね。

*1:20200228追記;このdon'tとletって対になってるな、と気付いた。Don't let them inだけでなく、conceal, don't feel, don't let them knowとかの、凍り付かせる方面のことばと。